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執筆者の写真Nobuo Ishimori

どこまで頑張ればいいの

更新日:2020年10月10日

現役担当者だった時代から、今日に至るまで、色々な人から「疲れました。私にはこれ以上は、もう無理です。」という相談を受けてきました。


猫が好きな訳でなく、純粋に対策として地域猫活動をしている方から、そのような相談をされることは、ほとんどありません。

淡々と、手早く、やるべきことをやって、自分の地域のTNRが終わったら、あとはメンテナンスモードになりますので、疲れ果てることがあまりないのは当然です。


一方、「猫を助けたい!」と活動している方は、強い情熱を持っている分、どうしても無理をしがちで、次々と新しい地域に手を広げていき、疲れてしまうことが多いようです。

相談を受けるたびに、その方にとって何が一番良いことなのかを、私なりに考えてきました。

事情は人それぞれですから、当然ながら答えは一律ではないのですが、「何よりも、ご自身とご家族の生活を最優先させてください。」と答えることが多かったです。


自分や家族の生活がきちんと成り立っていないならば、他者(私たちのテーマでいえば、地域住民とノラ猫)を助けることはできません。

溺れている人を助けることができるのは、自分でちゃんと泳げる人です。

単に泳げるだけでなく、人を抱えて泳ぐ余力のある人だけが、溺れている人を助けることができます。


自己犠牲は美学ではない、というのが私の考えです。

(過激な言い方なので、異論があるかもしれません。)


ボランティアとは、自分の人生を豊かにするために行う、自主的な社会貢献活動であると思っています。

不本意に何かを犠牲にして、泣きながらやることではないと思うのです。


もちろん実際には、時間的にも金銭的にも、持ち出しはあります。

ですが、それはいわば、「自分の人生を豊かにするために」自主的に払う対価のようなものであって、自己犠牲ではないと思うのです。

自己責任で、見返りなしに、自分の力で社会にコミットしていくとき、多くの刺激を受け、色々なことを感じ、考え、自分自身が変わっていくのを感じます。

だから、ボランティアは楽しいし、どこまでも自由です。

少なくとも、私はそうです。


私の場合は、ほぼ趣味と言ってもいいかもしれません(実際、家族や職場には「趣味です。気にしないでね。」と言っています。)。

「正しく立派なことをやっている。」なんて思いたくないし、思われたくないのです。

「正しい」などという自分にしか通用しない独りよがりなメジャーを持ち出した途端に、活動の純粋性や自由さを失いそうな気がするのです。


「あなたのために私はこんなに犠牲を払って頑張っているんです。」などと思われたい人はいないと思います。

私ならば、「そのようなことを思うくらいなら、いっそのこと放っておいてほしい。」と思います。

「猫のために、私はこんなにも人生を犠牲にしてきました。」と言うことは、(愛猫家でない私ではありますが)かえって猫に失礼なのでは?なんて思ったりします。


だから、「もしも辛いのなら、無理することはない」し、「自分や家族の生活を犠牲にするなんて、もってのほか」だし、「楽しくないのならば何かが間違っているので、楽しくない原因をきちんと究明し、楽しい活動に変えていかないと、貴重な人生の時間を費やすにはもったいなすぎる」というのが、私の考えです。


本日は、少々過激な言い回しがあったかもしれません。

誰かを傷つける意図は全くありませんので、その点だけはご理解ください。

こんなことを書いていますが、ついつい無理をして頑張ってしまう愛猫家さんが、実は大好きだったりします。

何故なのでしょうかね。書いたことと矛盾していますよね。

たぶん感情の問題なのだと思います。

一所懸命な人って、感情が揺さぶられるし、応援しないではいられない。

ということなのだと思います。昔から涙腺弱いし。

だからこそ、無理をしないでほしいなぁ、って強く思うのかもしれませんね。

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